中国物流業界を代表する企業群「四通一達」〜中国EC物流最前線〜

-越境物流-

2022.06.28

中国物流業界を代表する企業群「四通一達」〜中国EC物流最前線〜

まず、最初の中国の物流業界についてみていきましょう。

中国宅配市場では、現時点では合計8社の上場会社があります。以下で上場した時期とその会社名を整理いたします。

  1. 2016年10月20日、「円通速逓(YTO Express)」★
  2. 2016年10月27日、「中通快逓(ZTO Express)」★
  3. 2016年12月30日、「申通快逓(STO Express)」★
  4. 2017年1月18日、「韻達快逓(YUNDA Express)」★
  5. 2017年2月24日、「順豊速運(SF Express)」
  6. 2017年9月20日、「百世快逓(旧・匯通快逓、BEST Logistics Technology)」★
  7. 2018年1月16日、「徳邦快逓(Deppon Express)」
  8. 2021年5月28日、「京東物流(JD Logistics)」

その8社の上場宅配会社には、5社とも中国浙江省の杭州市の桐廬県県民が設立したので、中国宅配市場はこの5社を「四通一達」と呼ばれています。そこで、「四通一達」が、「円通速逓(YTO Express)」、「中通快逓(ZTO Express)」、「申通快逓(STO Express)」、「韻達快逓(YUNDA Express)」、「百世快逓(旧・匯通快逓、BEST Logistics Technology)」の5社ですが、上記のリストで★マークを付けたところを、会社名にちなんで「四通一達」として中国物流業界を代表する企業群として広く世界で知られています。

では、この中国最大物流団体である「四通一達」ついて考察していきましょう

「四通一達」のそれぞれの会社概要は以下の表のとおりとなります。

各社の特徴を詳しくみていきましょう。

「円通速逓(YTO Express)」

YTO Expressは、上海に本社を置く民間の宅配会社で、主に中国だけでなく世界中に小包を配達しています。その他、一般貨物倉庫、国内航 空輸送機関、レンタカー、サプライチェーン管理、およびその他関連サービスも提供しています。

1992年に設立されたのですが、2016年に上海証券取引所にある、日本の東証1部に当たる「メインボード(主板)」のA株市場に上場し、中国宅配業界での初上場会社になりました。

中国国家郵便局が発表した『2019年年度宅配市場監督レポート』によると、YTO Expressの1日あたりの宅配便の取扱個数は2,497万個に達し、市場シェアは14.35%となりました。

2020年9月にアリババグループは、66億元でYTO Express株式の12%を購入。合計で22.5%の株を保有して第二の株主となり、同社はアリババグループの資本が投入された物流会社の1社となりました。

 

「中通快逓(ZTO Express)」

ZTO Expressは2002年5月8日に中国上海で設立された会社です。2019年、ZTO Expressは121.2億個の宅配便を処理し、前年比+42.2%と急成長しました。2020年3月31日時点、ZTO Expressは中国ではサービス拠点が約3万ヶ所、仕分けハブが90カ所、長距離トラックが7,700台以上、幹線輸送が2,900ルート以上となります。

日本ではあまり馴染みがありませんが、2016年10月26日にニューヨーク証券取引所に上場した際にはAlibaba以降最大の中国企業の上場として話題になりました。2020年9月には、香港市場に重複上場しています(銘柄コード:2057/HK)。その目論見書によりますと、2017年から2019年まで、ZTO Expressは売上収入がそれぞれ、130.6億元、176.04億元と221.10億元でした。利益額がそれぞれ31.59億元、43.88億元と56.71億元でした。

同社もアリババグループ資本投入の物流会社の1社となっております。2018年5月29日、アリババグループとその傘下にある中国3PL物流企業最大手である菜鳥網絡(Cainiao Network)とともに、ZTO Expressに13.8億元を投資しました。そこで、アリババグループはZTO Expressの8.7%の株を持ち、ZTO Expressの第二の株主になりました。

中国国家郵便局が発表した『2019年年度宅配市場監督レポート』によりますと、YTO Expressは2019年度、1日あたりの宅配便の取扱個数が3,321万個で、市場シェアが19.08%でした。

ZTO Expresが「四通一達」で宅配便市場シェアが最も大きい宅配会社となります。

 

「申通快逓(STO Express)」

STO Expressは1993年に成立され宅配ブランドです。2021年1月時点、STO Expressは中国では事務所が4,500ヶ所以上、サービス拠点が約2.5万ヶ所でした。

2016年12月20日、STO Expressが深圳証券取引所に上場しました。同社も現在ではアリババグループ資本投入の物流会社となっています。2019年3月に、アリババグループは46.65億元でSTO Expresの14.65%の株を持つようになりました。2021年2月に、アリババグループは32.95億元で再投資し、最後にSTO Expresの25%の株までも獲得しました。

中国国家郵便局が発表した『2019年年度宅配市場監督レポート』によりますと、STO Expressは2019年度、1日あたりの宅配便の取扱個数が2,019万個で、市場シェアが11.60%でした。

 

「韻達快逓(YUNDA Express)」

YUNDA Expressは1998年8月に設立された宅配会社です。本社を上海に置き、2016年、YUNDA Expressは中国では仕分けハブが70カ所以上、サービス拠点が約4万ヶ所でした。2017年1月18日にYUNDA Expressは深圳証券取引所に上場しました。

中国国家郵便局が発表した『2019年年度宅配市場監督レポート』によりますと、YUNDA Expresは2019年度、1日あたりの宅配便の取扱個数が2,748万個で、市場シェアが15.79%でした。

投資規模は小さいですが、同社もアリババグループ資本が入っております。

YUNDA Expressが公開した2019年の年次報告書によりますと、アリババグループは2020年3月にYUNDA Expressの2%の株を入手し、YUNDA Expressの第七の株主になりました。

 

「百世快逓(旧・匯通快逓、BEST Logistics Technology)」

匯通快逓が2003年に設立された民間宅配会社です。2010年11月に、杭州百世網絡技術会社に買収されたので、「百世匯通」に変名し、杭州百世網絡技術会社の傘下にある有名宅配ブランドになりました。2016年、「百世匯通」が「百世快逓」に変名しました。2017年9月20日に、ニューヨーク証券取引所に上場しました。

中国国家郵便局が発表した『2019年年度宅配市場監督レポート』によりますと、BEST Logistics Technologyは2019年度、1日あたりの宅配便の取扱個数が2,077万個で、市場シェアが11.93%でした。

同社はかつてはアリババグループが株式の33%を持つ、物流会社でしたが、現在はアリババグループのEC事業のライバルでもある、拼多多(ピンドゥオドゥオ)傘下の極兔速逓(J&T Express)に66億元で買収され、競合EC企業の物流会社として新たな発展を進めております。

 

最後に

2013年、アリババグループは、中国物流企業最大手S.F.エクスプレス(順豊速運)、BEST Logistics Technologyを除いた「三通一達」とともに、菜鳥網絡(Cainiao Network)を設立しました。菜鳥網路はアリババグループの天猫が43%の株をもっています。また、アリババグループに属さないS.F.エクスプレスも「三通一達」も1%の株を所有しています。そのために、S.F.エクスプレス(順豊速運)も「三通一達」同様に菜鳥網絡(Cainiao Network)の下請け会社として、天猫系のECの実務を担う物流会社の1社として数えられます。

2020年7月19日、中国国家郵便局が、『2019年年度宅配市場監督レポート』を発表しました。当レポートによりますと、「四通一達」は2019年の宅配取扱個数が462億個で、売上収入が1469億元、宅配市場72%の市場シェアを持つ物流業界のメインプレイヤーです。一般的に中国宅配業界は順豊速運(SF Express)、菜鳥網絡(Cainiao Network)、京東物流(JD Logistics)、極兔速逓(J&T Express)という四強時代と言われていますが、ECグループ全体の物流基幹事業の再編により、資本グループで括り直すと、順豊速運(SF Express)、「三通一達」&菜鳥網絡(Cainiao Network)、京東物流(JD Logistics)、極兔速逓(J&T Express)の四強時代になっているとの見方もできます。

今回のレポートのように、世界トップレベルのEC大国である中国では、EC大手が宅配会社を経営的に支配下に置く傾向がとても強く見られます。EC大手会社には膨大な消費者のオーダー情報があるため、ビックデータとデジタル技術の優位性を最大限に活用してあらたな成長事業に投資することを各EC大手会社は模索します。未来のEC大手会社の競争力を決定づけるのは、毎日の配送実績から得られる細かいデータの積上げであるともいえます。

日本から中国市場へ越境ECビジネスを検討するにあたっては、どのECプラットフォームをメイン戦場にするかが、企業戦略上非常に大切な意思決定要素です。そのなかで、各グループ会社の物流面での実力を正しく評価しておくことも重要になってきます。現在はEC3大プラットフォームである、アリババグループ、JDグループ、拼多多(ピンドゥオドゥオ)グループは物流面においても中国市場で激しい競争をしている状況です

ダイレクトチャイナでは、「四通一達」をはじめ、中国資本の物流企業との様々なネットワークを構築し続けています。参入するプラットフォームに合わせて、最適な物流のあり方、日中一貫物流体制の構築を提案していきます。現在の配送形態を見直したいお客様、これから越境ECを立ち上げ最適な物流形態を構築したいお客様はお気軽に当サイトのお問合せフォームからご連絡ください。

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