2024年中国スマート物流トレンド予測

-越境物流-

2024.02.27

皆様、こんにちは!
ダイレクトチャイナをご愛読いただきありがとうございます。

中国の旧正月「春節」休暇が終わり、各大手ECサイトの激しい商戦もようやく落ち着きを取り戻したかと思います。EC各プラットフォームは競争力を高めるために、物流面において、様々な進化を続けております。今回のダイレクトチャイナは、中国のスマート物流業界のトレンドを紹介してまいります。

■スマート物流

以前ダイレクトチャイナレポートでも紹介しましたが、スマート物流とはスマート化された設備とシステムを駆使し、物流各工程の効率化、最適化、無人化を実現する物流の進化形です。スマート物流の技術は、幅広い業態で応用され、総合EC物流、越境物流、即日配送、倉庫オペレーション、O2O即時配送、ラストワンマイル配送など様々なシーンにおいて、新しい物流の取組が見られます。スマート物流は、一般的にDX物流とも呼ばれ、デジタル化を背景に様々な効率化を目指しています。

■中国スマート物流の主要プレイヤー

昨年8月に発表された『2023年(上)中国スマート物流データ報告』によると、中国スマート業界規模と企業数は増加傾向にあります。

中国DX物流の主要プライヤー一覧

                                                                                                                                 出典:电数宝

中国スマート物流の各業態から日本でも知られているような大手プレイヤーを挙げると下記通りです。

①総合EC物流企業:菜鳥(Cainiao)やJD(京東)物流など
⇒大手ECサイトのグループ物流を担う大手物流会社

②越境物流:4PX(递四方)、YQN(运去哪)など
⇒越境ECに特化した世界規模でロジスティクスオペレーションを提供する物流会社

③サードパーティーロジスティクス(3PL)企業:順豊(SFエクスプレス)、円通(YTO)、中通(ZTO)など
⇒国内輸配送に強みを持ち、B2Bも含む荷主企業においてサードパーティーロジスティクスの立場で、幅広い提案ができる物流会社

④即日配送会社:Meituan美団など
⇒生鮮食料品、日用品をユーザー宅へ宅配する物流企業

⑤O2O物流オペレーター:UU跑腿、順豊同城など
⇒ユーザーがオンラインで商品を注文し、配達員が代わりに実体店で購入または受け取り配送するサービスを提供する企業

特に中国では、日本と比較して④、⑤に属する会社が最近目立ってきているように感じます。

中国主要スマート物流企業マップ

                               出典:电数宝

中国の大手スマート物流企業は主に北京、上海、浙江、広東など沿岸4つの都市・地域に集中しており、その次に天津、江蘇、福建です。これらの地域はハイテク産業が集積し,国際空港を持つ交通の利便性(特に沿岸部)を持っています。さらに、地域所得水準が高く有名大学または帰国した留学生の採用など、人的資本確保が比較的しやすい地域であることが特徴です。スマート物流企業の成長を支えるECユーザーの多い主要都市で、スマート物流技術は今後も発展していくことが予想されます。

■宅配市場とスマート物流

2023年中国宅配市場規模は1.3兆元に達しており、成長率が7.03%となっています。中でも2015年の成長率は79.72%と高かったですが、2017年から2019年そして2021年から2023年成長率2段階に分けて成長率が大幅に低下しました。2023年アフターコロナ期に入り、7%台の成長率になってきました。かつての大規模成長からはダウントレンドに見えますが、中国全体のGDPの成長率を超える成長を続けております。すでに宅配市場は1.4兆元の市場規模まで成長してきていることを考慮すると、今後の成長はスマート物流がいかに新しい市場を生み出すかに掛かってきます。

宅配市場規模及び成長率

                                    出典:电数宝

■スマート物流のユニコーン企業

前述の通りスマート物流にはその対象となる領域は物流全般に及び、各領域をけん引する代表的な企業がユニコーン企業として発展してきました。総合EC物企業である菜鳥物流や京東物流、サードパーティーロジスティクスであるSFエクスプレスや極兎J&Tエクスプレスなどが代表例です。各ユニコーン企業はその企業評価価値も非常に高いといえます。

                                                                                                                     出典:电数宝

2023年上半期、スマート物流のユニコーン企業は合計22社で、企業価値の総額は7134.6億元となっています。 その中、菜鳥の評価価値が1850億元と1位にランクインし、2位が極兎J&Tエクスプレス、3位がLalamove、7位にSFエクスプレスという結果となっています。スマート物流のユニコーン企業数は前年比46.7%増、評価価値総額は前年同期比20.8%増加しました。ユニコーン企業にとって中国国内物流市場において価格やサービスの質などで他社と差別化を図り、利益を上げることが今後はより困難となっていくと言われます。ユニコーン企業の今後の主戦場は、海外のロジスティクス領域に移行していくと予想されます。

■まとめ

本レポートでは、中国スマート物流のトレンドについて紹介しました。

中国のスマート物流の2024年以降のトレンドは、菜鳥やSFエクスプレスが積極的に海外市場を開拓し、中国スマート物流企業の成長をけん引していくと思われます。日本から見ても、中国は非常に重要な市場の一つでもあるので、中国のスマート物流のユニコーン企業といかに取引をするかが重要な検討事項になります。

ダイレクトチャイナでは中国物流市場のトレンドや、マーケティングのトレンドを発信し続けます。また、ダイレクトチャイナでは中国市場に興味がある企業様に向けて、商流と物流の両面で個社別にサポートを行っております。中国EC・越境物流に興味がある、挑戦してみたいという方、または興味があるが攻め方が分からない、もっと詳しく専門家の意見を聞いてみたいなどのニーズがございましたら、個別相談の機会を設けておりますので、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただけると幸いです。

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