中国最大手ECプラットフォーム「天猫国際」の中小企業向けビジネスモデル

-越境物流-

2022.10.25

以前、当レポートにて、「中国越境ECプラットフォームの選択肢(主要プレイヤー4選)-越境販促-」と題して、中国最大手ECプラットフォーム「天猫国際(Tmall Global)」の特徴について紹介させていただきました。

今回は「天猫国際(Tmall Global)」の続編レポートとして、特に中小企業が初めて天猫国際で展開する場合のビジネスモデルとその物流のしくみを解説させていただきます。天猫国際は、アリババグループが2013年に海外ブランドの出店誘致を目的として設立しました。「天猫国際直営スーパー」という天猫に商品を卸して輸入販売するモデル(B2B2Cチャネル)と、企業が自ら出店する海外旗艦店モデル(B2Cチャネル)の2つの出店形態に分けることができます。天猫国際はいうまでもなく、中国最大の越境ECプラットフォームです。天猫国際のユーザーは、若くてライフスタイルへのこだわりが強く、新しいモノや体験を求め、価格・品質へのこだわりが強いZ世代がコア顧客層となっています。天猫国際プラットフォームでは、どのような商品が販売されているのでしょうか?人気商品カテゴリーTOP3は化粧品・パーソナルケアが1位、食品・日用雑貨が2位、ベビー関連用品が3位となっています。

天猫国際では、出店企業の商品だけを販売するブランド旗艦店(B2Cチャネル)が中国の消費者に非常に人気があります。しかし、このビジネスモデルは出店保証金といった出店するために必要な初期投資が高いうえに、物流は中国の保税倉庫に在庫するサプライチェーンモデルが求められます。また旗艦店ですので保税区に在庫する在庫水準も比較的高くなります。さらに非常に高い水準の広告展開を求められるため、初期段階では売上目標以上に広告費を投下しないと売上が伸びないと言われています。特に強い競合が既に存在している場合は競合を上回る広告投資を初期段階で投下できないと競争のスタートラインにすら立てないでしょう。つまり、中国市場でまず知名度を上げるために戦略的に赤字計上を許容できる体力のある資金力が豊富な大手企業向けのビジネスモデルと言えます。それでは中小企業にとって、天猫国際は非常に難しいプラットフォームなのでしょうか?

 

実は、中小企業にとっても参入しやすいビジネスモデルがしっかりと用意されています。ブランド海外旗艦店が初期投資と広告費が非常に高い先行投資型のビジネスモデルであるのに対して、天猫国際では、初期投資の低いビジネスモデル「天猫日本直送」、「天猫スーパー・ブランドステーション」の形態があり、中小企業はまずテストマーケティングも兼ねてこの二つのビジネスモデルが検討しやすいのではないでしょうか。「天猫日本直送」は天猫国際に商品を卸すビジネスモデル(B2B2Cチャネル)であり、商社など比較的多数の商品を持つ企業がサプライヤーとして認定されています。「天猫スーパー・ブランドステーション」は天猫国際の中で最も利用者数の高い天猫国際運営のマーケットプレイスに日本の商品を掲載するビジネスモデルです。こちらは自社ブランドを持つ中小企業などがサプライヤーとなるケースが多いビジネスモデルです。こちらは契約上、自社が自由に運営できるB2Cチャネルの一つですが、中国人消費者からの実際の見え方は、自社ブランド商品をマーケットプレイス上に掲載するために、マーケットプレイスの一商品として認識されますので、食品やスイーツなどすでに越境ECで検索されやすい商品カテゴリーであれば中小企業でも参入しやすい障壁の低いモデルとなります。

物流については両モデルともに、アリババグループ内にある物流会社CaiNiao(以下、菜鳥)を利用することが大きいな特徴と言えます。ここからは天猫国際を越境ECで活用する際2つの物流モデルについて解説していきます。まず一つ目の「天猫日本直送」は日本直送(BCモード方式)を活用しています。ECプラットフォーム側から予め商品情報、支払い情報、購入者情報(中国では三単合一という)を提出し、中国税関の情報システムがこれらを確認・運用するという仕組みとなります。このビジネスモデルはユーザービリティが非常に高く、税率も行郵通関(CCモード)に比べると一般的な商材であれば半分以下の水準になりますので、最終売価をより安く設定することができ、販売量を拡大できる利点があります。ただし、「天猫日本直送」というビジネスモデルは広告運用を行わず、自然検索で一定の認知度や検索されやすい商品でない限り類似商品の中に埋もれてしまうデメリットがあります。

2つ目の「天猫スーパー・ブランドステーション」というビジネスモデルは天猫国際から「保税区モデル」の利用を指定されています。「天猫スーパー・ブランドステーション」は基準在庫の指定は特になく必要な分だけ保税区に在庫することができます。出店より3か月間は天猫国際の指定TP(Tmall Partner)が広告を運用しますので、認知度が低くてもある程度の売上を期待することはできます。

今回のレポートではアリババグループの越境ECプラットフォーム「天猫国際」の紹介、日本直送モデルを利用した「天猫日本直送」と越境物流の保税区モデルを利用した「天猫スーパー・ブランドステーション」の2つのビジネスモデルを紹介させていただきました。特に「天猫スーパー・ブランドステーション」は注文が入った時点中国国内にある保税倉庫から商品を出荷し発送するため、リードタイムは数日ほどと早く、中国の保税倉庫に在庫するリスクを最小限に抑える物流サービスですので、初めての越境ECには向いている形態だといえます。

まとめ

今回のレポートは、中国最大手のECプラットフォームで、特に若いZ世代に絶大の影響力を持つ天猫国際の物流を解説しました。出店すればライフスタイルへのこだわりが強く、新しいモノや体験への関心が高く、価格・品質志向のZ世代ユーザーに商品訴求が可能となります。ダイレクトチャイナでは、お客さまに適した越境プラットフォームとのマッチングを行っております。お気軽に当サイトのお問合せフォームからご連絡ください。今後もダイレクチャイナでは、中国越境物流の事情や、中国越境EC市場の動向を常に研究し、レポートを配信し続けてまいります。現在の配送形態を見直したいお客様、これから越境ECを立ち上げ最適な物流形態を構築したいお客様、越境ECに関する最新時流を把握したいお客様のお役に立てるように努力を続けて参ります。

今後もダイレクチャイナでは、中国越境物流の事情や、中国越境EC市場の動向を常に研究し、レポートを配信し続けてまいります。現在の配送形態を見直したいお客様、これから越境ECを立ち上げ最適な物流形態を構築したいお客様、越境ECに関する最新時流を把握したいお客様むけに個別面談の機会も随時受け付けております。詳しくは当ホームページのお問合せフォームからお気軽にお問合せください。

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