2020-2021年中国輸入越境ECレポートから見る中国越境ECの変遷と躍進
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コロナ禍でインバウンド市場の流通額が大幅に減少した一方、世界中の越境EC市場が広がっています。越境ECインフラが既に整備されている中国では、2020年には越境EC市場規模は3.07兆人民元(1元=19円で換算、約58.3兆億円)で、2021年は3.55兆人民元(約67.5兆億円)に達したと言われています。
さらに越境ECを発展させるため、中国政府が越境ECの試験区画を105か所、保税区を数百個も設立したことから、中国の越境ECに世界中からより多くのプレイヤーが参入してくることが予想されます。
今回のレポートでは、あらためて中国越境ECの発展の歴史について、初期、成長期、発展期、深化期(日本語ではあまり使われていない表現ですが英語のDeepening)といった四つの段階で解説します。デジタルも含めたテクノロジーの進化と消費行動の変化に伴い、プラットフォーマーは、提供サービスを変化させています。それらの変化も含めて見ていきましょう。
■中国越境ECの発展の歴史
- 越境EC初期(1999-2003)
プラットフォームの機能は商品の展示にとどまり、取引と決済は主にオフラインで行われていました。該当のプラットフォームは主に海外貿易情報を提供し、オンラインでの取引や決済はあまり関与していませんでした。
代表プラットフォーム:環球資源(global sources)
- 越境EC成長期(2004-2012)
オフラインでの取引、決済や物流等のプロセスはデジタル化されつつありました。プラットフォーマーは情報流だけでなく、物流や金流も取り込んできました。また、オンライン取引と決済もできるようになりました。
- 越境EC発展期(2013-2017)
政策による環境整備と潤沢な資本流入によってエコシステムが拡大し、EC市場におけるB2Cプラットフォームのシェアが拡大しました。また、モバイル端末のプラットフォームも急速に発展してきていました。
- 越境EC深化期(2018-現在)
越境EC深化期では、越境ECのサプライチェーンの各セグメントが統合されていく傾向があります。なお、プラットフォームは細分化と差別化に向けて発展していきます。 大手越境ECプラットフォームはオフラインの店舗も設置し、オンラインとオフラインを統合するような体制を整えています。
代表プラットフォーム:蘇寧国際(SUNING INTERNALTIONAL)
■海淘(ハイタオ)ユーザーのペルソナ
データによると、2019年中国において、海淘(ハイタオ、海外商品を購入することを指す)ユーザーが1.54億人もおり、2020年になると1.58億人と増加傾向にあります。中国の44.0%のEC化率と比べたらまだ少ないですが、越境EC市場の拡大により海外商品のニーズが増加するとともに、海淘ユーザーが増え続けることが予想されています。
艾媒咨詢『2020-2021中国進口跨境電商行業研究報告』をもとに作成
なお、海淘ユーザーのペルソナは新しい流行を追いかける若者であると思われがちですが、実際は30歳~50歳の年齢層が65.4%を占めています。その理由は、中年層は若年層よりも質の高いライフスタイルを追求し、かつ高い消費力を有しているからだと思われます。
艾媒咨詢『2020-2021中国進口跨境電商行業研究報告』をもとに作成
さらに、激しい地域格差が存在する中国では、地域によって消費力が全く違うと言われています。北京を有している華北エリア、上海を有している華東エリア、広東・深圳を有している華南エリアは海淘ユーザーの71.1%も占めています。
艾媒咨詢『2020-2021中国進口跨境電商行業研究報告』をもとに作成
上記のように、越境ECビジネスで中国に進出したい場合は、海淘ユーザーのペルソナは、国内ECよりも良質な商品を求めるユーザー群であることを考慮した上で、商材をしっかり選定したほうがいいと考えられます。
■越境ECの人気商材
海淘ユーザーのペルソナに触れたことで、越境ECの人気商材も紹介していきたいと思います。
2021年越境EC消費者買い物の傾向に関するアンケートによると、アパレル、化粧品、食品・飲料が人気商材の1位から3位を占めており、その次は家電・デジタル機器、サプリメント、スポーツ用品、マタニティ・ベビー用品、ペット用品となります。
この中で特に気を付けてほしいのは、食品・飲料は3位でかなり上位にある商材に見えますが、実際2020年と比べると越境ECで食品・飲料を購入するユーザーが17.2%も減少したことが分かりました。
では、2021年から一気に人気になった商材を見ていくと、2021年マタニティ・ベビー用品を好んで購入したユーザーは26.8%を占めており、2020年と比べると17.7%増加した傾向が見えます。
艾媒咨詢『2020-2021中国進口跨境電商行業研究報告』をもとに作成
海淘ユーザーが越境ECで商品を購入する際に最も重要視している点を見てみましょう。「商品のブランド」、「商品の品質」を選んだ海淘ユーザーがそれぞれ60.7%と56.4%を占めており、「商品の価格」を選んだユーザーは53.7%で、「商品の製造国」と「購買者レビュー」を選んだユーザーはそれぞれ43.0%と42.6%を占めています。
最上位は「商品のブランド」です。つまり、ブランディングをしっかりとしない限り、商品力を持っていても越境ECビジネスで成功する可能性は低いということです。消費者の目が肥えている現在の越境ECビジネスでは、商品のブランド力、品質、適正な価格はどれでも不可欠であると言っても過言ではないでしょう。
艾媒咨詢『2020-2021中国進口跨境電商行業研究報告』をもとに作成
■最後に
本レポートは、中国輸入越境EC発展の沿革、越境ECユーザーのペルソナ、越境ECの人気商材について紹介させていただきました。中国越境ECビジネスを検討している方や、既に進出している方は、少しでもお役に立てれば幸いです。
越境ECの参入にあたって、プラットフォーム選定やマーケティング戦略は今回のレポートで言及してませんが、決して重要ではないというわけではありません。プラットフォームの選定や販促方法は、中国で展開する商材にあわせて、最適な意思決定をしなければなりません。
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【参考資料】
艾媒咨詢|2020-2021中国進口跨境電商行業研究報告
https://www.iimedia.cn/c400/77305.html(2022年5月30日閲覧)
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