1.2020年中国越境EC市場の概要
中国国家商務部は2021年9月15日に発表した『中国ECレポート(2020)年』によりますと、2020年度中国越境EC輸出入総額は約30.42兆円(1.69兆元(※以下同様1元=18円で計算する)を超えました。また、同レポートによりますと、2020年度中国越境EC通関オーダー数が24.5億件でした。
中国越境ECは日本企業にとって、非常に魅力的なビジネスです。しかし、これから本格的に検討される企業にとって、越境プラットホームは選択肢が非常に多く、必ずしも多くの参入企業が大きな成功を収めているわけではないといえます。越境プラットフォームの選択肢を間違えると、苦しいスタートになりますので、当コラムではプラットフォームの選び方についてお話します。
2.中国越境ECプラットホームの主要プレイヤー4選
次に具体的なECプラットホームプレイヤーを見ていきましょう。
中国越境ECプラットホームですが、モール系と、SNS連携系の2タイプに分けられています。まず、モール系については、天猫国際と京東国際が2大候補になります。次にSNS連携系については、Wechatのミニプログラムと小紅書があげられます。
中国越境EC巨大プラットフォームのプレイヤー分析
(『ダイレクトチャイナ販促アプローチブック(2020)年』より)
①天猫国際(Tmall Global)
2013年に、アリババグループは国外のEC出品企業を呼び込むため、越境EC専門のECモール「天猫国際」をオープンしました。直接輸入販売するモデル(B2B2C)と企業様自ら出店するモデル(B2C)の出店形態があります。
日本でいうと楽天グローバルのイメージですが、現在天猫国際は中国最大の越境ECプラットフォームとなっています。天猫国際での売れ筋商品については、美容関連、食品/健康関連、マタニティ/ベビー関連の売り上げが多く、この上位3カテゴリだけで全体の8割を占めています。日本製品の「ベビー用品・子供関連用品」や「美容関連用品」が人気ということもあり、日本からは資生堂、花王、ムーニー、ミキハウス、カルビー、ライオンなど有名企業が多数出店し、成功を収めています。
商品検索は同じアリババグループのタオバオアプリから入って、タオバオ、天猫(中国国内専用モール)天猫国際から商品が同時に検索できますので、3億人の中産階級の中国消費者へ最初からアプローチが可能となります。初期費用が高めで、基本はアリババ指定の保税区物流を使いますし、広告費も売上の一定比率を投下しないと競争に勝てないビジネスモデルですので、資金力が豊富で中国市場でシェアを狙うくらいに、大きく成長しようとする大手企業むけのプラットフォームといえます。
②京東国際(JD Worldwide)
京東グループは国内向けの「京東商城(JD.com)」を運営しているいますが、2018年に越境ECである「京東国際(JD worldwide)」の運営を開始しました。京東グループは家電販売の強みとしていますが、越境ECのなかでも高単価商品に向いているプラットフォームといえます。
日本でいうとアマゾン海外サイトのイメージですが、現在京東国際は中国第二位の越境ECプラットフォームです。また国別の商品売上ランキングでは、1位:日本、2位:アメリカ、3位:オーストラリアとなっており、国別では日本の売上高が1位にランクインしています。それは、2015年には日本企業の商品を専門に扱う「日本館」をオープンしたことも話題になりました。DHC、アカチャンホンポ、オムロン、ソニー、タイガー、カシオ、カルビー、キヤノンなど日本でも有名企業や有名ブランドは京東国際で出店しております。自社旗艦店を天猫国際ではなく京東国際を優先して選ぶブランドもあります。
京東国際は、日本館を設置して商品力のある日本ブランドの誘致に力を入れております。カテゴリー別では、デジタル家電(約25%)、ベビー用品(約25%)、化粧品(約23%)となっております。
③小紅書(RED)
2013年に、ライフスタイル・美容・ファッション・旅行などの情報を共有するアプリとして公開されたのですが、2021年2月時点ではアプリの登録ユーザー数が3億人を超えました。日本でいうとインスタグラムのイメージですが、利用者には女性が約8割なのため、中国最大級の女性向け口コミアプリとなります。
小紅書はEコマース機能を兼ね備え、口コミ検索から購買まで同時に行なうことができるため、衝動買い購買を誘発するチャネルといえます。コスメ、美容関連など、女性向け商材を取り扱う企業のマーケティング活用に非常に注目されています。基本はクチコミ検索アプリなので、まだ無名の商品を中国に発信しながら売上を作っていきたい女性向け高価格商品に適合したECプラットフォームといえます。
④WeChatミニプログラム
WeChatは12億人以上のユーザーを持つ中国最大のSNSアプリであり、日本人の感覚にはLineに近いといえます。そのSNSアプリのなかに、WeChatミニプログラムという機能が2017年に登場し中国の新しい社会インフラに成長しました。ミニプログラムはインストール不要の軽量アプリとして、WeChatの内存機能として公開されました。スマホのデータ容量は気にせずに、ユーザーが気軽に使用することが可能で、インストール不要に加え、更新作業の負担も感じなくなるので、非常に高いユーザービリティを発揮しています。
WeChatミニプログラムで販売サイトを作るということは、海外向けに自社ECサイトを構築するイメージです。自社ECサイトなので、広告を打たないと集客ができません。広告はWeChat上で自由にボリュームを調整できますので、早期に爆売りしたいブランドにとっても、ゆっくりとテストマーケティングしたいブランドにとっても自由度の高い運用ができるのが強みです。
また、WeChatミニプログラムはWeChatに組み込まれているため、WeChat上でシェアされることができます。そのため、既存ユーザーを活性化させながら、既存ユーザーのシェアによって新規ユーザーを呼び込むサイクルを作りたい企業さまにおすすすめします。
日本国内の人口減少や新型コロナウイルスの影響などにより、海外市場に関心のある日本企業にとって、隣国の巨大市場である中国市場は最優先で越境ECを検討する対象になっているといえます。本レポートでは、拡大する中国 EC 市場ですでにビジネスを展開されている企業にとっても、これから検討される企業にとっても有益な情報を発信していきます。
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