2022年の中国EC市場の振り返りレポート~中国市場の今をお届け~

-越境販促-

2022.12.29

2022年の中国EC市場の振り返り

今回は2022年の中国EC市場の振り返りレポートとなります。本レポートでは、2022年の中国EC市場の状況を解説するとともに、2023年以降の中国EC市場の時流予測を①中国経済、②中国EC市場、③中国越境EC市場 ④中国人消費者の4つの観点で考察します。

①中国経済の状況

2022年3月5日、李克強首相の政府活動報告では、2022年の政府成長率目標は国内総生産(GDP)が前年比5.5%前後増(以下、変化率は前年比として記載)と発表されました。中国国家統計局が10月に公表した1-9月期のデータによれば、速報値で計算すると、今年第1-3四半期(1-9月)の中国の国内総生産(GDP)は87兆269億元(1元は約20.5円)に上り、この時点で前年同期比で、3.0%増となりました。3月に掲げた「5.5%前後」のGDP成長率目標を達成するには10~12月に10%を超す成長率が必要となる計算でしたが、到底そのような成長は期待することは難しい状況です。 

2022年12月1日、政府の対コロナ政策を担当する孫春蘭副首相が「中国の新型コロナウイルス対策は新たな段階に入りつつある」と語ったことを起点に、中国のコロナ政策は、「ゼロコロナ」政策から実質的な「ウィズコロナ」政策に転換されました。確かに、中国人はゼロコロナ政策に不便さや不透明さを感じたため、一時は多いに国民から歓迎されましたが、急な防疫体制の緩和により、広州市や北京市など複数の都市で新規感染者数が過去最多を記録しました。感染者は外出を控えなければいけないため、経済活動に影響が出ています。そのため、22年のGDP成長率は3%台にとどまると予測されています。

2023年の中国経済見通しは、感染拡大を抑制できるか否か、「ウィズコロナ」政策を貫徹できるかどうかに大きく左右されます。新型コロナの感染急拡大と不動産市場危機が数カ月にわたり中国経済を揺るがしているため、中国政府はより成長重視のスタンスで、来年の景気好転を目指すことになります。政府としては、諸外国にむけて市場の信頼感を著しく改善させる必要がさらに高まっているからです。

②中国EC市場の状況

経済産業省が2022年8月12日に発表した「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、中国のEC市場規模は2021年時点で2兆4,886億USドルであり、前年比で15%の増加であったと推計されています。同資料によると、米国のEC市場規模が2021年時点では前年比 14.6%増の 8,707 億 US ドルです。そこで、中国のEC市場規模はこの時点で米国と比較しても2.85倍もの市場規模であり、世界一のEC大国であるのは明確です。今後の予想として、中国のEC市場規模は2025年には3兆6,159億USドルまでの成長予測がされており、中国全体の経済成長が不透明であるなかで、堅実に成長を続ける市場であると見られています。

③中国越境EC市場の状況

「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」では中国の越境EC市場規模にも言及しております。中国における越境 EC 市場規模については、2021 年は 1,773 億 US ドルとみられ、前年比で 17.4%増加と推計されています。中国EC市場の成長率が15%であるため、越境EC市場は中国EC市場よりも、さらに大きな拡大傾向が見られました。

中国は膨大な越境EC市場を持っていますが、4社で越境EC市場の86.4%を占める極端な寡占状態となっています。トップは天猫国際(Tmall Global)の 36.8%、続いて網易考拉(Kaola.com)27.4%、京東(JD.com)13.9%、唯品会(vip.com)8.3%が現在の中国越境ECの実態です。

実は、天猫国際(Tmall Global、Tモールグローバル)がアリババグループの主力越境ECチャネルですが、網易考拉(Kaola.com)は2019年9月6日にアリババグループに約20億ドルで買収されているため、アリババグループが運営する越境ECサイトの市場シェアは実質64.2%もあります。

アリババグループが越境EC市場で最も関心を持っているのは、間違いなく日本からの越境ビジネスを加速させることです。2022年12月22日、アリババグループは日本で活躍するインフルエンサーと連携し、日本企業のマーケティング支援を強化するため、天猫国際においてグローバルライブコマース連盟を発足し、海外第1号拠点を日本に設立しました。同連盟には、潤泰商貿、大熊物産、楽GOO国際、REA商事、Inagoraなど、ライブコマースを手がける約10社が参画しており、日本で活躍する約300名のインフルエンサーとも連携しておりますので、中国人消費者に自社商品を売りたい企業さまにとっては追い風になることは間違いありません。

④中国人消費者の状況

2020年1月以来、新型コロナウイルス感染症の影響により、国境を越えた人々の往来がストップしているなか、越境ECは中国人消費者が海外製品を購入するために欠かせない重要な社会インフラとなっています。その中、天猫国際は、直近3年間は年平均20%の成長率を維持しています。中国全体の経済成長率がわずか3%程度ということを勘案すると、その成長率は中国における他のビジネスと比較しても、非常に高いものであるといえます。

2022年12月26日、中国政府は、海外から中国本土に入る際に義務付けているホテルでの強制隔離を2023年1月8日から撤廃すると発表しました。対外的な往来の面で規制を緩和することは、1月22日の春節前後に国民の大移動があるため、感染者の爆発的な増加を懸念する声も上がっています。

一方で、ゼロコロナ政策の破棄や、国境の全面再開は、越境ECビジネスを加速させせることが期待できます。日本貿易振興機構(JETRO)が過去に実施した訪日経験のある中国消費者へのアンケート調査では、「なぜ越境 EC を使って日本の商品を購入したか?」という質問に対し、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えた消費者が、2017 年 8 月調査では 40.4%(N=992)でした。日本滞在時に、実際に商品に触れた経験、自分自身の目で確認し信頼できると認識した経験が起点となり、越境 EC を活用した再購買に繋がっていることがわかりました。失われた3年間のインバウンド需要をいかに取り戻せるかが2023年の対中国市場にむけて日本企業が取り組むべきメインテーマの一つとなるでしょう。

ダイレクトチャイナでは2023年も日中越境EC市場、日中EC市場、日中インバウンド市場に展開していくために商流と物流の両面でサポートできるよう取り組みを強化して参ります。

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