中国越境ECにおける人気商品研究~日本酒編~ 

-越境販促-

2022.08.18

2021年の日本酒の最大輸出相手国は中国に

財務省が発表した貿易統計によると、2021年日本から中国向けの日本酒輸出量は前年比52.3%増の7,268キロリットルになり、輸出額は前年比7.5%増の102億8,000万円となりました。日本酒の輸出先でみると、中国は金額ベースで2021年に初めて国別で1位に躍り出ました。

 

2011~2021年における中国向け日本酒の輸出量と輸出額の推移

(出典)ジェトロ「2021年の日本酒の最大輸出相手国は中国に」

 

2021年に中国が日本酒の最大輸出相手国になった理由は、いくつか考えられます。

まずは、コロナ禍の影響でインバウンド観光客が減り、インバウンドでは「爆買い」される商品の一つとなっていた日本酒の購買チャネルが越境ECに移ったという見方ができます。2020年は中国もコロナ禍に見舞われて物流面での混乱もあり、一時的に日本からの輸出量が減少しましたが、2021年の伸びはその反動もあったとも読み取れます。

中国では、「日本式飲食店」が日本酒の主要な消費場所になっています。ジェトロが2020年6月に公表しているレポートによると、中国国内における日本式飲食店の数は2013年の約1万店から2019年には約6万5千店と、大幅に増加しました。

 

「日本酒ブーム」の中で際立つ「獺祭ブーム」

近年、中国では「日本酒ブーム」という単語が視野に入ってきています。

元々、中国の伝統的なお酒の白酒は、アルコール度数が50度以上のものがあり、若者にとってはなかなか飲みにくいところがありました。それで、アルコール度数が低くさっぱりしていて、甘みもある日本酒は急速に若者の間に人気が広がっています。

2019年、「SAKE-China」という日本酒コンテストが北京で開催されました。40蔵108本の日本酒がコンテストに参加し、たくさんの中国の日本酒ファンが集まりました。

「日本酒ブーム」に乗り、近年、「獺祭ブーム」が中国を席巻し、日本好きの中国人なら誰でも知っている日本酒銘柄になっています。

 

何故獺祭は中国でそこまで人気になっているのかを見てみましょう。

飲みやすさやお手頃の価格はもちろんのことです。中国では輸入酒類の価格は昔からずっと高額で、「1,000元(約20,000円)以下のウィスキーは飲み物にならない」という見方をされていました、獺祭は400元台(約8,000円)で手に入れることができ、中国人の好みにあうテイストだったことで、コストパフォーマンスのいい商品として評判が広がりました。

獺祭の物語づくりも成功の要因です。SNSが流行っている現代社会では、物語性が消費者に共感されれば、ブランド名が急速に浸透していきます。獺祭では、基本情報やブランドストーリーだけでなく、日本酒の製造過程もしっかりと中国語に翻訳されウェブサイト上に掲載しています。

 

中国SNSに載っている獺祭の紹介文で、製造過程までしっかりと翻訳されている

 

中国での消費モデルは、日本同様に「モノ」から「コト」に推移しています。言い換えれば機能価値だけでなく、物語性に裏付けられた感情価値の提供が売上を左右する商習慣になっています。

ブランド品を買ったらすぐ周囲に見せびらかしたり、高級ホテルで優雅にアフタヌーンティーを飲む姿の写真をSNS上にアップロードしたりと、商品そのものよりも、有名なものを購入する、憧れの商品を消費するといった価値観にSNSによる拡散の習慣が結びついて、「コト」消費を加速させているのが実態です。日本酒の場合は、お酒自体は「モノ」ですが、有名な日本酒を飲む体験は「コト」になります。日本式居酒屋で日本食をつまんで、獺祭を飲んでいるところの写真を撮ってSNSにアップロードして見せびらかすことを楽しむ人が増加していることで、さらに人気の出始めた獺祭を有名ブランドに急成長させたといえます。

今年から獺祭のアイスクリームも流行ってきて、中国最大のECプラットフォームの天猫では、一杯80gのアイスクリームが90元(約1,800円)で販売されており、ハーゲンダッツも超える超高級アイスクリームになっています。

 

中国最大ECプラットフォーム「天猫」での獺祭アイスクリームの商品ページ

 

 

■中国最大の越境ECプラットフォームの「天猫国際」から見る人気の日本酒

中国最大の越境ECプラットフォームの「天猫国際」から人気の日本酒を見てみましょう。以下の画像は、月間販売数を順に並べた日本酒の商品となります。

第1位から第4位、そして第8位は獺祭になります。その次、第5位は日本盛の生原酒、第6位と第10位は白鶴酒造の大吟醸、第7位は一酔万笑、第8位は播磨灘でした。

獺祭はブランド単位では圧倒的一番の売れ筋商品になっていますが、全体のランキングを見ると価格帯がかなりバリエーションがあります。一番安い商品は一升で168元(約3,360円)で、一番高い商品は一升で1698元(約33,960円)で販売されています。

「安い」というのは、中国消費者が商品を選ぶ唯一の基準ではないことが分かります。

 

中国最大ECプラットフォーム「天猫」で日本酒の売れ筋商品ランキング

 

■最後に

コロナ禍でさらに進化を続けている越境EC市場では、日本で好調に売れている商品が意欲的に取り上げられ続けています。

ダイレクトチャイナでは日本のEC事業者を対象に、日本国内のEC物流コストダウンを実現しながら、同時に中国に自社商品を販売できるビジネスモデルをお伝えしています。

首都圏物流が国内外一貫EC物流センター開設に伴い、8月24日(水)に国内外一貫ソリューションと題してオンライン無料説明会を実施します。

多くのEC事業者のご参加をお待ちしております。ご興味のある方は下記のリンクよりお申込みください。

https://www.shutoken.net/direct-china/seminar/

 

【参考資料】

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/aa4e4e3ce1463532.html

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10532/2

https://withnews.jp/article/f0190909002qq000000000000000W06l10901qq000019729A

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Events/streaming/20200616/doc2.pdf

https://zhuanlan.zhihu.com/p/311118568

https://www.ssnp.co.jp/news/liquor/2018/01/2018-0124-1726-14.html

 

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