16兆円爆売り達成!!「独身の日」に見る2021年中国EC市場動向

-越境販促-

2021.11.16

16兆円爆売り達成!!「独身の日」に見る2021年中国EC市場動向

中国で年間最大のEC巨大販促イベント、「独身の日」が12日0時に終了しました。最大手のアリババ集団の取扱高は5403億元(日本円で1元18円換算すると9.7兆円)に迫り、2位の京東集団(JDドットコム)の取扱高は3491億元(約6.3兆円)で、合わせると8894億元(約16兆円)に膨らみました。アリババも京東も総売上高が史上最高になました。先週終了したばかりの販促イベントを、消費者目線からレポートさせていただきます。

まだコロナ禍にありながら、経済正常化に歩みを進める中国において、今年の独身の日セールの変化は何なのか、基礎知識や昨年の消費動向と共に、2021年の中国EC市場動向を本レポートで解説いたします。

※アリババ公式サイトで公開した2021年天猫独身の日キックオフ・イベント写真

1、独身の日の新定義、「買い物を通じてより良い社会を」

 独身の日セールは、「双11」「W11(ダブルイレブン)」とも呼ばれます。中国の最大手EC企業のアリババが、2009年11月11日に自社ECサイト「天猫(Tmall)」で一大セールを始めたところ大ブームになったのです。その後、中国のネット通販最大手「アリババ」や2番手の京東(ジンドン、JD)を代表とするECプラットフォームは、毎年驚くほど取扱高が上がるため、今や中国、そして世界中が注目する一大商戦日となっています。

今回は、2021年10月20日に中国消費者向けの天猫(アリババグループ)「独身の日」のキックオフ・イベントはありました。中国政府が掲げる「共同富裕」などの方針に影響された背景もありますが、アリババグループ最高マーケティング責任者(CMO)のクリス・タン(董本洪)は、今年「独身の日」商戦の意義について次のように話し、社会に貢献する姿勢をアピールしています。

「過去12年間、天猫独身の日は中国の強大な消費力を示したと同時に世界の小売業の発展に貢献しています。今年、アリババグループは消費者、マーチャント(出店者)、ブランド運営企業などのパートナーと手を携えて、包摂的恩恵と持続可能な発展の促進に注力し、新たな独身の日を切り開いていきます」

アリババグループは上記のように、「買い物を通じてより良い社会を」との消費主張を提出するのほか、省エネ製品などをそろえたページの用意、環境保護を促すクーポンの発行など、政府が重視する環境問題に配慮したキャンペーンを積極的に展開しました。世界的に影響力を持つ中国の巨大企業はESGにも配慮したコメントを残しているのが興味深いといえます。

物流面に目をむけると、アリババグループ傘下のテクノロジー物流企業「菜鳥(ツァイニャオ)」は11月1日から中国全土1万か所以上の菜鳥ステーションで環境保護のため梱包資材の再利用を行っています。

※アリババ公式サイトで公開したクリス・タン氏のプレゼン写真

2、独身の日の引爆剤、スーパーライバーの存在

2021年の「独身の日」セールでは、アリババグループはタオバオの販促用ライブコマース配信プラットフォーム「淘宝直播(タオバオライブ)」で約700人の有名タレント、KOL(キーオピニオンリーダー)を起用しました。その中、スーパーライバーの李佳琦氏(Austin)と薇婭氏(Viya)が天猫の独身の日セールの爆売りに大きな貢献をしています。

独身の日セール期間は10月20日〜11月11日ですが、スーパーライバーの李佳琦氏(Austin)と薇婭氏(Viya)は予約販売開始日の10月20日から、熱狂的な爆売りをもたらしました。2人の当日売上については、李佳琦氏(Austin)が106.53億元(約1917億円)、薇婭氏(Viya)が82.52億元(約1485億円)で、株式会社三越伊勢丹ホールディングスの2021年四半期売上高、1879億円と同じレベルでした。一人のスーパーライバーが1キャンペーンで販売する額が、日本最大の百貨店の四半期売上と同水準になったのは驚きしかありません。ちなみに、3位となった雪梨氏(Cherie)は9.3億元(約167億円)の売上でしたので、二人は桁違いの販売力を誇ります。

李佳琦氏(Austin)は12時間にわたる「配信マラソン」で2億5000万回もの最高視聴回数記録を更新しました。当日のライブ終了後、李佳琦氏が新浪微博(Weibo)に投稿し、「普段は1日2000万回の視聴回数ですが、今日は2億5000万回もありました。視聴者の女の子たち、どこから来たの?」が、話題になりました。すでに近年巨大になりすぎたEC市場ですが、中国人ユーザーはまだまだ熱狂的な消費意欲が持っていることがわかります。

日本のライブコマースはまだ黎明期です。楽天は「Rakuten LIVE」を提供していましたが、2021年の4月にサービスを終了しました。また「メルカリ」や 「BASE」なども次々とライブコマースサービスを終了しています。「伊勢丹三越」などセレクトショップで人気の高い百貨店が個別にライブコマースサービスを行っていますが、日本も本格的にプラットフォームや各ブランドがライブコマースに大きな投資をするのにもう少し時間がかかりそうです。日本のライブコマース市場は2024年までには10兆円規模に成長されるという試算されています。今後、日本でどのようなスーパーライバーが登場するのか非常に興味深いところです。

※李佳琦氏(Austin)と薇婭氏(Viya)の10月20日タオバオライブ配信実績

3、独身の日の人気輸入品部門、6年間連続1位の日本

今年の「独身の日」セールでは、天猫国際(アリババグループの越境ECプラットフォーム)は87の国と地域の2.9万余りのブランドから約2,800万点の商品を出品しました。その中、235個の海外ブランドは数千万元レベルの売上を達成しました。海外ブランドで百万元を超えたブランドは昨年よりも46%増加しました。

日本は6年間連続、輸入品部門での1位です。部門別のブランド売上TOP10位は公開されていたので、日本ブランドの成績をピックアップいたします。パナソニックは小型家電部門での7位で、ユニクロは服装部門での4位でした。富士フィルムとキヤノンはそれぞれ写真撮影部門での4位と5位でした。スキンケア部門では、SK-IIはTOP10位にラングインできなかったですが、資生堂は5位にランクインしました。

美顔器ブランドYA-MANは、6年連続、美容機器部門で販売実績1位を記録できました。中国人消費者はスキンケアには依然として日本ブランドの安心感が高いこともありますが、YA-MAN社は、各種のライブコマース配信を行っていたのも成功要因です。薇婭氏(Viya)を活用したライブコマースにも取り組みました。また、自社でも天猫旗艦店で毎日ライブを配信しています。そして皮膚科医とのライブも日本社長山﨑氏が参加するライブも市場は注目しました。完全に中国市場での爆売り方法を心得たYA-MANはスキンケアの知識と日本産の品質を、中国式マーケティングで中国人市場に伝え続けたことが大成功の要因だったといえます。

中国巨大市場はまだまだ日本商品、日本ブランドを必要としています。しかし、ライブコマースを軸にした中国式の販促方法を利用しないと中国市場の躍進に乗り遅れる可能性が高いといえます。確かに、世界のライブコマース市場は地域によってステージは異なりますが、消費者にも便利なこのライブコマースを日本でも発展することが、日本のEC市場の躍進に不可欠だと再確認させられた「独身の日」でした。

※YA-MAN天猫旗艦店のライブコマース写真

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