近年、中国を中心に越境ECの世界の市場規模は急激に成長しております。2020年において、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆9,499億円(前年比17.8%増)で、日本から中国の越境 EC 市場は、日本から米国にむけた伸び率をも上回る成長率でした。日本商品を中国にどのように越境ECで輸出するのか、中国越境EC商品通関に関する基本知識を以下にご紹介したいと思います。
出典:経済産業省|令和2年度電子商取引に関する市場調査(2021年7月30日)
1、大手越境ECプラットフォームが求めるEC総合税モデル
日本から中国への越境ECはスタート段階では、中国人ユーザーに直送を行うことが現実的です。この直送モデルについて、天猫国際、JDグローバルに代表される大手プラットフォームに参画する場合は越境EC総合税通関という形式を選択します。以下のような手続が必要になります。
①越境EC総合税を適用する企業は、輸入通関時に注文単(注文情報)、支払単(支払情報)、発送単(宅配情報)の3単情報(受取人ID情報を含む)を、電子的に税関に送付することです。「越境電子商小売輸入通関申告書政策に関する説明」が求められます。
②輸入申告を受けた中国税関は、書類を審査し、必要に応じて貨物を検査し、関税などの納付を確認して、輸入を許可します。
③輸入が許可された企業は、輸入許可書とデリバリーオーダーを倉庫に提示して貨物を引き取リ、消費者まで配送します。
では、詳しく見ていきましょう。
1.1、日本企業輸入商品申告
越境EC消費者が注文後又は輸出商品の申告前に、越境ECプラットフォーム企業又は、越境EC企業中国国内代理企業での「注文情報」、決済企業からの「支払情報」、物流企業からの「物流情報」を、「中国国際貿易単一窓口」、もしくは越境EC公共サービスプラットフォームに伝送する必要があります。
1.2、中国税関通関審査
中国税関通関審査のデジタル化により、税関の電子システムは事前に受領した上記の3単情報と税関申告書が一致しているかを自動的に確認しています。一般的には、中国税関総署は秒速で通関申告を認めることができますが、専門家による審査が必要な税関申告書は、システムが自動的に専門家の審査場へ振り分け、専門審査を行います。
1.3、荷物配送受取
税関の輸入許可書取得後に貨物を国内の提携事業者の物流拠点に商品を送付し、提携事業者が現地の消費者に配送します。消費者は納税義務者で、税関に登録された越境EC業者、物流企業、申告企業は、税金の源泉徴収義務者に代わって納税義務を履行し、相応の法的責任を負うとしています。
2、中国越境EC通関の5つの注意点
2.1、越境EC小売輸入商品範囲に注目
2019年、財政部や国家発展改革委員会、税務総局が共同で「越境EC小売輸入商品リスト」(2019年第96号)を発表しました。同時に、既存の2つの適用対象品目リスト(2016年第40号、2016年第47号)は廃止されました。今回公表されたリストをみると、木質活性炭、漢方薬酒、ゲーム機、顕微鏡、双眼鏡、天体望遠鏡、懐中電灯、電気アイロン、CD-ROMドライブ、ホチキスなどが新規で追加されたほか、乳製品、酒類、水産品、衣類などの分野でも一部品目が追加されました。
2.2、税金担保金に注目
越境 EC 第三者プラットフォーム経営者、物流企業又は通関申告企業はその源泉徴取義務者であり、税関に税金担保を提供し、かつ税金補填義務及び関連法律責任を負うため、税額に相当する担保金が条件なります。企業売上が急速に増加する見込みがある場合、事前にシミュレーションを行い、税金が発生した時点で売り主が立て替えれるよう、税関に税金担保を払うことが可能です。
2.3、商品返品期限に注目
越境EC小売輸入には返品がある場合、返品企業は「申告リスト」が許可されてから30日間以内に税関に申告し、「申告リスト」が許可されてから45日間以内に商品を税関作業場又は保税物流センターに仮置きされます。
2.4、越境取引の限度額に注目
従来1人1回あたり2000人民元(1元=15.93円換算、日本円で約3万1860円)、年間2万元(約31万8600円)の限度額が設けられていましたが、2019年1月以降は1回5000元(約7万9650円)、年間2万6000元(約41万4180円)まで広げました。
また、課税価格が5000元を超えるが、2万6000元の年度あたりの取引上限額より低く、かつ当注文に置いて商品が1件しかない場合、越境EC小売輸入として輸入できますが、税収面の優遇額、関税、増置税、商品税の全額が徴収され、かつ取引金額が年度あたりの取引金額額として加算されます。年間あたりの取引金額が2万6000元(約41万4180円)の上限額を超える場合、越境取引はできず一般貿易輸入貨物として扱います。
2.5、販促商品の報告は必要
販促期間に、プラットフォーム企業や越境EC関連企業の販促計画や販促商品の品目、予測販売量などを事前に中国税関総署に共有することで、中国税関総署は把握した上で職員を適切に配置し、通関システムの運営を保証するほか、通関業務を効率化にするなど対応してくれることになっています。
最後に
中国ユーザー向けの越境ECについて情報収集段階の事業者様、また既に実施している事業者様、中国越境ECは法律などの規制が厳しいため、ぜひ上記で紹介した中国越境EC商品通関基本知識を参考になれば幸いです。
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