菜鳥(Cainiao)の海外ビジネス・物流ネットワーク

-越境物流-

2024.01.30

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ダイレクトチャイナで以前も取り上げましたスマート物流企業菜鳥(Cainiao)は、2023年度の売上高が775億元(約1兆6億円)で前年比16%増を記録しており、アリババグループ内で最大の成長率を誇ります。オンライン小売市場の成長に伴い、中国国内では宅配ボックスや宅配ピックアップ・ステーションである菜鳥驛站(Cainiao Post)の設置など配送ネットワークをさらに強化し、EC慣れした中国人の暮らしをさらに便利にする社会インフラを強化させていっています。

菜鳥は中国からの越境ECにも積極的です。2023年6月に「5日以内に届くグローバル配送」を確約する海外越境配送サービスを発表しました。また、海外EC物流を支えるために中国国外で、海外拠点・ネットワークの整備を急ピッチで進めています。今回は菜鳥の海外ビジネス・物流ネットワークについて紹介してまいります。

■菜鳥海外物流成長の背景

近年中国で、アリババグループにとって強力なライバルDouyin(中国版Tiktok)が台頭した中、アリババグループは中国国内だけで圧倒的競争優位を保つのが難しく、海外ECの強化にも力を入れています。グローバル規模でアリババグループECサービスの利用者が増えれば、中国国内シェアが少しずつライバルに奪われてもアリババグループも、菜鳥の売上も成長するだろうというリスク回避方針をとっています。アリババグループとしては、Lazada(ASEAN)、Trendyol(トルコ)、Daraz(ネパール・パキスタン)、Tokopedia(インドネシア)など海外大手ECプラットフォームへ次々と資金注入や買収することを続けました。それに連動し、菜鳥も莫大な海外むけの物量のオペレーションと向かい合うことになります。

菜鳥が海外ビジネスを強化する理由として中国の物流競争激化が挙げられます。中国民間の物流企業は物流大手順豊(SFエクスプレス)、京東(JD.com)の物流会社「京東物流」及び菜鳥がTOP3を占めており、中国国内物流市場の競争が激化し、価格競争などで以前のような利益を上げることが困難となってきています。利益を確保するため海外市場開拓が菜鳥にとって急務というわけです。海外ネットワーク及びインフラ整備を進めた菜鳥は、2023年の国際物流取扱量が15億個を記録し、SFエクスプレスの20倍の物量を持つことになりました。

■菜鳥の海外ネットワーク

菜鳥は長年にわたり、投資先である4PXエクスプレスのグローバル拠点のネットワークを活用してきましたが、現在は、自社の海外物流拠点の建設を進めています。2023年6月時点、菜鳥は世界規模で、200カ国・地域に合計建築面積約1,650万平方メートル(約500万坪)の在庫拠点を1,100箇所と、通過拠点(積替え拠点)を380箇所運営しています。ヨーロッパ・アジアの主要マーケットから近いという地理的優位性を生かし、ベルギーのリエージュとマレーシアのクアラルンプール、に合計建築面積約15万平方メートル(約4.5万坪)の通関・保管・仕分け・輸送が対応可能なワンストップ物流ターミナルe-Hubを開設しました。さらに、香港も同様のワンストップ物流ターミナルを建設中です。その結果、菜鳥全体の越境EC物流処理能力が底上げされ、リードタイム短縮及び輸送コスト削減によりイギリス、スペイン、オランダ、ベルギーなどで「5日以内に届くグローバル配送」が実現しました。

菜鳥は国際輸送能力を強化すべく、毎週170便チャーター機を運用しながら、数多く貨物航空会社と締結し混載輸送を行っています。さらに、e-hubなど自社海外物流拠点を利用し、一部海外の国・地域内に菜鳥のローカル物流ネットワークを構築しました。 具体的には、欧州市場でいえば、前述ベルギー・リエージュのe-Hubをベースにヨーロッパ幹線輸送ネットワークを広げ、ドイツ、フランスなどヨーロッパ30カ国以上の輸送をカバーするネットワークの整備です。菜鳥は今や世界で合計224カ国・地域が対象の巨大物流ネットワークを築き上げたことになります。

 

■まとめ(菜鳥の国際物流ネットワーク)

本レポートは、菜鳥の国際物流ネットワークを紹介しました。同社は商流・物流イノベーションを国外でも起こし続け、世界にその影響力を拡大すると予想します。中国国内物流市場の競争が過熱し、今後中国巨大物流企業がシェアを奪い合う戦場は、中国国内ではなく、国際物流市場となると予想されます。

ダイレクトチャイナでは中国物流市場や、マーケティングを主テーマとした中国の最新時流を発信し続けます。ダイレクトチャイナでは中国市場に興味がある企業様に向けて、商流と物流の両面でサポートを行っております。中国EC・越境物流に興味がある、挑戦してみたいという方、または興味があるが正攻法が分からない、もっと詳しく知りたい等ございましたら、個別相談の機会を設けておりますので、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

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