中国国際宅配市場最新レポート

-越境物流-

2023.10.17

皆様、こんにちは!

ダイレクトチャイナをご愛読いただきありがとうございます。日本でも目にする中国経済の不景気のニュースと裏腹に、2023年の前半、中国全土の宅配便取扱個数が600億個を超えました。そして大手ECプラットフォーム主催の販促キャンペーン期間中の宅配便の1日あたり取扱個数は4億個に到達し、中国EC市場が成長し続けています。まだまだ内需は依然として安定していることを示しています。

中国では、ECプラットフォームの売上が急速に拡大し、ライブコマースなど新しい広告手法を追い風に、中国の宅配取扱量の平均成長率が2016年から2022年にかけて23.42%と高い伸び率を示しました。“同一都市内”宅配便の取扱個数は2016年の74.1億個から2022年の128億個に増加し、年平均成長率は9.54%となっています。一方で、省をまたぐ“長距離”宅配便の取扱量は2016年の232.5億個から2022年には957.7億個と4倍以上に増加し、年平均成長率は26.61%で最も急成長している市場セグメントとなっています。“長距離”宅配便の取扱量の伸びは、国内ECのユーザーが沿岸部の中間層だけでなく、遠方にある地方都市まで広がり、より大きな社会インフラへと成長し続けていることが読み取れます。

それでは、国際宅配便はどうでしょうか?

国際宅配便は、2つ以上の国を跨ぐ配送サービスを指します。 小口がメインで、リードタイムが短く、発送元から受取先までドア・ツー・ドアで運ぶ配送形態が越境ECで利用されています。国際輸送では専門通関士による通関手続きまで含まれるのが大きな特徴です。中国の輸出入を含めた国際宅配便事業の売上高は2016年の429億元から2021年の1163.4億元まで増加し、22.08%の伸び率を記録しましたが、2022年にはコロナウイルス感染症の再流行で主要都市でのロックダウンの影響を受け、国際宅配便の取扱高は前年比0.2%減の1161.1億元となりました。越境ECが着実に伸びているのに、国際宅配便の伸びにブレーキがかかったのを疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、越境ECは近年では保税区を使った越境ECが国際宅配便に取って変わった傾向があります。

中国発の越境ECについて、アリババ・グループの面白い取り組みを紹介します。

2023年6月、菜鳥(CaiNiao・ナトリ)が杭州市で開催された2023年グローバル・スマート・ロジスティクス・サミットにて、同アリババ・グループ内越境ECサイトを運営するアリエクスプレスと提携し、中国EC物流業界初の「5日以内に届くグローバル配送」を確約するサービスを開始すると発表しました。菜鳥では、「5日以内に届くグローバル配送」サービスは中国発の国際配送のリードタイムが平均30%向上することを目指しています。それを実現するために、ヨーロッパ、北米、東南アジアの主要都市をターゲットに、毎年1〜2箇所のフルフィルメント・物流センターをアリババ・グループ主導で開設していく方針を示しました。これまで、越境ECといえば、諸外国から中国市場への一方通行のイメージが強かったですが、アリババ・グループは中国の商品を世界に売る戦略も同時進行で仕掛けようとしているのが非常に興味深いです。世界から商品を集める従来型越境ECと、成長した中国ブランドを世界に売る新規ビジネスの越境ECの二本立ての戦略に注目です。

ダイレクトチャイナでは、中国物流業界の最新時流をお伝えしています。

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