中国物流企業最大手S.F.エクスプレス(順豊速運)〜中国EC物流最前線〜

-越境物流-

2022.01.25

2022年1月10日、中国国家発展改革委員会(CPC)と中国物流・購買連合会(CFLP)が2021年度中国民間物流企業TOP50を公開しました。公開データによりますと、2021年度中国民間物流企業TOP50社の合計収入が、5,770億元(約10.4兆円)で、前年比21.9%の増加でした。その中で1位となるのが、年収入1517.4億元(約2.7兆円)のS.F.エクスプレス(順豊速運)で、売上は2位の京東物流(733.7億元)の2倍以上で、50位の民間物流企業(10.7億元)の15倍です。

今回のレポートでは、この中国越境EC物流最大のキープレイヤーである「S.F.エクスプレス(順豊速運)」を紹介させていただきます。

(2021年度中国民間物流企業TOP15)S.F.エクスプレス社は、創業者の王衛氏により1993年に中国広東省で設立された中国を代表する物流会社です。2021年1月時点までに、S.F.エクスプレス社は中国国内及び海外に、約35万人の従業員を雇用し、4.5万台の車輛を持ち、75機の航空機と約倉庫、約234万m²の倉庫を有している中国物流企業最大手に成長しました。会社沿革を以下で整理させていただきました。

■ 1993年 中国・広東順徳で順豊エクスプレス社創立
■ 2002年 正式に運送業の資格を獲得して深圳で本社を設立
■ 2011年 東京に順豊エクスプレス株式会社を設立
■ 2012年 大阪に同社支店を設立、同年グループ年売上は200億元を突破
■ 2015年 楽天との戦略提携を締結
■ 2017年 SFホールディング(SZSE:002352)へ社名変更し、深セン証券所に上場
■ 2019年 香港の物流大手「嘉里物流聯網」の株式8%を現金買付により取得
■ 2020年 S.F.エクスプレス社は宅配便取扱量が81.37億個となり市場シェアが9.7%
■ 2021年 S.F.エクスプレス社は宅配便取扱量が105.34億個をを突破

S.F.エクスプレス社は、創業してから常に国内外サービスネットワーク拡大とサービス品質改善を続けており、中国での個人間宅配便市場では、多少は料金が高くてもS.F.エクスプレスを使おうというブランドイメージが定着されています。日本でのヤマト運輸に企業ブランドイメージが近いのではないでしょうか。

取扱高が1,000億件(2021年)を超える中国物流業界において、S.F.エクスプレスの1位であり続ける理由は、「市場に対する高い対応力」が挙げられます。近年のS.F.エクスプレス社が時流に沿って実施した取り組みを紹介いたします。

2019年、中国のEC化率が36.6%で、日本のEC化率の5倍ほどまで成長していました。そこで、中国では農村部でのEC利用がこれから本格化すると、S.F.エクスプレスは判断し、5月よりEC事業者に特別割引がある「特恵専配」サービスを発売しました。レギュラーの宅配便より配達に時間はかかるが運賃を抑えたサービスを展開しました。その結果同年の12月には越境ECの主力企業「唯品会(VIP.com)」から年間5億個以上の宅配業務を担うことになります。

参考:『令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)』 

2020年、新型コロナウイルスの影響で外食産業は未曽有の厳しい状況が続いていますが、飲食のデリバリーアプリの利用が急増していくと見たS.F.エクスプレスは、5月より宅配の配送網を活かしながら「丰食(フェンシー)」という食配サービスをスタートさせました。「丰食(フェンシー)」とは、企業の社員食堂向けの食配サービスを提供するフードデリバリープラットフォームです。デリバリー市場では、「美団(メイトワン)」と「餓了麼(ウーラマ)」がほとんどの市場を占めておりますが、S.F.エクスプレスが飲食市場の33%を占める「社員食同」をターゲットにして差別化を実現しました。2021年4月時点、丰食(フェンシー)では6,000社の50万人にサービスを提供しています。

2021年、S.F.エクスプレスは、脱炭素の潮流を捉えて習近平国家主席が掲げた中国脱炭素「3060目標」に応じた「炭素目標白書2021」を発表しました。「3060目標」とは、2020年9月の国連総会で、習近平国家主席が掲げた、二酸化炭素(CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きプラスマイナスゼロにするカーボンニュートラル目標です。

S.F.エクスプレスは、「炭素目標白書2021」の中で2030年までに炭素効率を55%改善する目標を設定し、同社は中国物流業界で初めて二酸化炭素(CO2)削減に向けた具体的な数値目標を示した企業になりました。

具体的に同社が抱える脱炭素政策を整理すると・・・・・・・

①エネルギー構造の調整(炭素削減率68%):産業パークに太陽光発電を導入するなど、再生可能エネルギーの利用を増 加させる  ②科学技術の応用(炭素削減率12%):人工知能(AI)、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)などの先端科学 技術を活用し、炭素排出管理プラットフォームを構築する  ③運輸・事業モデルのアップデート(炭素削減率11%):2つ以上の異なる輸送手段を用いた複合一貫輸送や貨物輸送航空ハブを利用した運送ルートの効率化及び、エコ包装の導入 によるCO2排出量を削減  ④その他(炭素削減率9%):避けられないCO2排出に対して、森林植栽や排出権取引などを利用

参考:【SF Global Highlights】2030年までに炭素効率55%改善、中国物流業界で初めて二酸化炭素排出量削減目標発表

S.F.エクスプレスは、「市場への対応力」を武器にビジネス機会を見逃さなかったため大きな成功を収めました。

ダイレクチャイナトレポートでは中国市場の最新動向を、マーケティングとロジスティクスの両面で定期的に発信していきます。初めて中国に向けた越境EC事業を検討する際、市場を的確に捉えて自社商品を効率的に販売するチャネルを選ぶこと、そしてローコストで商品を供給するロジスティクス(越境物流)構築が初期の段階においては非常に重要です。ダイレクトチャイナは、その両面をサポートしておりますので、お気軽に問合せくださいませ。

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